本館では、世界に誇る日本の刃物“火造りの技法”を中心に展開します。刃物作りに関する近代の技法や技なども軽んじる事なく、比較しながら学んで行きます。
撮影:宮田昌彦
職人としてプロである事。精神を重視する日本の技文化を継承している事。
鉄の鍛え、焼き入れ、焼き戻し、切れ味、成形、機能的バランスなど、日本の刃物が本来持つ繊細な質を重視し、優れた刃物や道具を造ることが出来る事
刃物であっても、興味本意のアマチュア感覚の作者、作る側より、どちらかと言えば見る側で云々するマニア的立場の作者、自画自賛の作家、などは除外します。但し、作家に類する職種であっても定義に適合する場合、職人とします。
本刃物記念館は、1.の熱間鍛造による日本の伝統を継承した刃物作りを基本に展開します。
日本古来の和鉄製法は、砂鉄で鉄を造ることから始めます。技法はタタラ製鉄法と言います。先ず、炉を作ります。炉は粘土で作り、十分乾いてから炉に砂鉄と炭を交互に入れます。過熱し、フイゴで下から風を送り、砂鉄を溶かし滴下させる製法です。操業に入ると3日3晩、寝ずに行います。炉は一回の操業で、壁を溶かし、痩せて壊れます。滴下した鉄はタタラ炉の底に溜まり、これをケラと呼びます。この鉄の固まりを割って、四方白とか八方白と呼ばれている白く輝く良質の玉鋼や不純物を噛んだ垢金などを区分する作業があります。その残の垢金を更に精錬して、包丁鋼などの原料を作る作業もあります。タタラとこの原料を作るまでの鍛冶を総称して大鍛冶と言います。
大鍛冶が作った鉄を原料として、これに細工を加え道具等を作る職人、刀鍛冶、野鍛冶、一般的な鍛冶職人などを総称し小鍛冶といいます。