関ヶ原の戦い1600年頃を境にして刀は分類されます。
それ以前を古刀、以降を新刀、明治前後を新々刀、今の時代を現代刀と言います。大旨こうした区分で行っています。又、新々刀には復古刀と言う言い方もあります。文化・文政以降、当時の古刀、とりわけ鎌倉時代の鍛練法に戻るべきとの運動があり、そのような作刀が流行った為にこうした呼び名があるようです。
第一期・上古刀
国宝や重要文化刀剣などになっています。たおやめぶりの太刀(女性ぶり)
※ 重要刀剣とは必ずしも刀として優れているとは限りません。むしろ駄作は多いようです。しかしながら、歴史的には価値のある刀です。
第二期・平安末期〜鎌倉初期
細身腰反り 公家文化の色が濃い。直刃に小乱刃混る。ますらおぶりの太刀(男性ぶり)
第三期・鎌倉中期
太刀が主力、幅に差少、重ね厚い、丁子華麗、短刀直刃。
第四期・鎌倉末期
豪壮太刀、蒙古来襲の影響、のたれ(刃紋)、互(ぐ)の目(刃文)、柾目肌の鍛え(地鉄)。歴史的には最も長大化した太刀。
第五期・南北朝
蒙古来襲の教訓で、太刀姿は長大化、寸延び短刀は一尺に。 ※ 寸延び短刀とは、通常より長く作る傾向があった(当時の流行)。
第六期・室町
末期には太刀より刀、戦国から片手打ちの必要性もあり軽く短くなる。慶長新刀と呼ばれる。
第七期・桃山
南北調に似るが短い。地金に変化、輸入鉄の利用など。寛文新刀の出現。切っ先がこじんまりとしてくる。
第八期・江戸
斬新華麗な波文、数珠、濤欄刃など。時代は鎖国に突入。復古刀、室内での戦いなどから刀の短かめなものも出現。
第九期・幕末
新々刀、復古刀の活動はあるものの作風は多種となる。日本の刃物の原点、刀の技を守る。
第十期・明治以降
明治・・・廃刀令、帝室技芸員による保護、 世界大戦・靖国たたら・・敗戦・・連合軍による刀狩り、 現代・・・日刀保たたら(日本美術刀剣保存協会)創業。その他
刀の質を考える時、国宝級の刀剣は別として、昔の刀剣だからといって、刀の質が優れていると言う訳ではありません。歴史的価値が重要であるとしている物です。しかし、重要刀剣を含め、刀の質を多数の現役の刀匠に会う機会から、聞いて見るとお粗末なものがほとんどで、よくぞひどい刀をこんな値段で売るものだ、と感心している節も伺えます。また一般の刀剣販売においても考える時、現在、優れた研ぎ師の研ぎ料は、20万から40万です。もちろん安い刀鍛冶もいるように、安い研ぎ師もいます。この価格から察して、刀の良し悪しを判断するのも一つの方法です。
鑑定書は手続きで簡単にとれるもので、刀の質とは何ら関係ありません。“折り紙、鑑定”が付いたとしても良い刀であるとは限りません。また、信頼性があると鵜呑みするのも考えものです。5万〜10万で手に入れた愚作を35万〜50万などで売る事は当たり前のように行われています。
こうしたことから、もし昔の刀鍛冶が今の日刀保(日本美術刀剣保存協会)の展覧会に出品した場合、上位どころか入選も出来ない刀が多いであろうと言われるのは、うなずける話であります。現在、昔の刀は、いくつかの協会があり、それぞれに信頼出来るランク付けをしています。これを参考にされたらと思います。私の知っている人も、昔の刀を集めていましたが、騙されことごとく駄作を掴み、収集をやめてしまった人が何人もいます。また、こうした話はよく聞きます。これは刀の問題ではなく刀商のモラル、骨董屋としての問題で信頼感の問題です。現代刀について言えば、こうした騙しはまず現役の刀工がいる訳ですから出来ません。従って、刀の質的価値から言えば昔の刀は、現代刀価格に3倍程度乗せていると考えてもいいようです。現代刀の刀匠達から言わせれば、昔の刀で500万円以下でほしいと思った事は一度もないと言うのが一致した意見です。騙されると言う事は刀の価値と言うより、それ以上精神的なショックは大きいものです。気をつけて買い求める事をお推めします。