日本の技博物館

刃物記念館

刀を持つ本来の意味

昔の刀と、現代刀を比べて見せますと、刀を持つ本来の意味がわかると言います。現代刀の美しさに魅せられ、それが自分の愛刀であるとなれば感動です。昔は武士の魂であり、今も求める人にとって気持ちは同じです。昔の因縁がある刀は、何本も持てる収集家に預けるとして、高い買い物ですから、自分の為の重代刀(代を重ねていく家宝刀)が欲しくなります。昔の刀と今の刀を目の前に置いて比較した時、刀に対する考えが変り、現代刀を購入する人が多くなるのは当然です。同価のものであれば、現代刀の質は3倍以上良い刀ですし、美しさがまるで違います。
因に昔の刀の価格は、歴史的なものもあり、確かな物であれば800万前後から2000万程度が目安です。さらにそれ以上のものはいくらでもあります。
現代刀については、何といっても、刀鍛冶が自分の為に造ってくれたもので、世界に1本しか無い作品だということです。これは何ものにも変え難い大きな喜び、素晴らしいことであります。因に現代刀で大刀を鍛える場合、販売価格は国宝級で1000万前後、これは、既にほとんど受注はききません。トップクラスの刀匠でも250から500万前後(白鞘)、トップランクに行けば行く程、研ぎ師などの質もかわり、関わる職人のランクも違っていきます。従って、鞘等装備品を全て揃えるとすればこの場合、1000万前後になるはずです。

刀剣販売、昨今の風潮。

名工会では、昨今、安物の刀が安易に、且つ大量に売買されているのを見るにつけ、危機感を感じています。そこで日本の歴史的精神文化のひとつである刀を、明確に認識して頂くことが急務であると思っています。もちろんブームであれば、次第に情報も入り、真実は分かってくるはずです。
まず名工会は、現代刀匠の最高位である無鑑査16名、それに追随する優れた刀鍛冶の中から、特に優れた刀匠を選出し、その作品を逐次ご紹介しながら、その基準を示すものとします。

日本の刀鍛冶の最高位・無鑑査16名

以下 日本美術刀剣保存協会の順位

  1. 天田誠一(昭次) 重要無形文化財
  2. 大隈貞男(大隈俊平) 重要無形文化財
  3. 吉原義人(義人)
  4. 吉原荘二(國家)
  5. 月山清(大和国住月山貞利)
  6. 上林勇二(長谷堂住人恒平)
  7. 山口武(清房)
  8. 河内道雄(国平)
  9. 吉川三男(於備前國大野義光)
  10. 宗 勝(筑州住宗勉)
  11. 三上孝徳(安藝國三上貞直)
  12. 宮入法廣(法廣)
  13. 瀬戸吉廣(筑前住瀬戸吉廣)
  14. 廣木順一(三池所生弘邦造)
  15. 宮入 恵(宮入小左衛門行平)
  16. 吉原義一(東都高砂住義一)

以上16名が日本の刀剣界の頂点にいます。

日本の刀鍛冶の数

刀鍛冶は日刀保(日本美術刀剣保存協会)に登録することが義務付けられています。現在350名前後います。この多数の刀匠は、以前、刀工の許可を多発した時期がありその関係であります。刀鍛冶とは名前だけという人も結構いるようです。又、高齢となり現在少しずつですが減っています。しかし優れた後継者も多数育っています。

刀鍛冶の現状

一年に一回行われる日本美術刀剣保存協会が行う展覧会が刀鍛冶の価値を決めるバロメーターとなっています。この展覧会に出せるような刀を造るとなると、かなり難しく、精神面や感性、加えて地鉄(じがね)の精練技&鍛練技、作刀技術等、全てが作品に出てきます。刀鍛冶の頂点にいる刀匠は、この展覧会で特賞を取り続ける訳ですからそれは至難の技と言えます。
この展覧会は、その年によって優れた刀匠が沢山参加する場合と、そうでない年など色々あり、賞だけで、比較判断することは難しいようです。従って最高位レベルに於いては、得意技などを十分調べ、ご自分の好みも考え合わせて作刀依頼されるのがよいでしょう。 名工会は、最高位を含めて、それに迫る刀鍛冶など、技と刀鍛冶に相応しい人間性など両面を重視し、紹介していきます。人間性を重視することは刀の精神と一致します。心技を優れた刀匠選出のキーワードとしています。

刀鍛冶の生活面

刀鍛冶とは言え、この技術だけで生活できるとなると無鑑査を入れて30名前後と言ったところではないかと考えます。
そこで刀の優れた鉄を造る技を活かし、他の刃物を両立させて成功している刀匠もいます。明治の廃刀令など時代の流れや、様々な理由から刀を造ることを諦めた刀匠達もいます。一般鍛冶の方向に変えた末裔が、素晴らしい職人として活躍しているケースもあります。江戸の有名な刀匠、現在、鉋の名工、石堂家などはその代表的なものです。鉋の名工、千代鶴もこの石堂家出身です。鋏の職人も刀鍛冶から転向した職人の末裔がいます。
逆に刀匠とは名ばかりの末裔が、刀鍛冶を売り物にし、演出効果十分にデパートの職人展などに参加し刃物を販売している人がいます。いい加減な刃物を高く買わされた知り合いの料理人がおり、悔しがっていました。刀匠というだけで、信じる人がいるのは仕方の無い事ですが、全て鵜呑みにせず、調べてみることも大切です。
※名工会は、巷の嘘の解明、刀剣のアドバイスなども可能な限りで行います。

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