日本が誇る金銀の針金細工には秋田で有名な銀線細工があります。特徴は世界の同種の頂点であり、誰が見ても繊細で造形的な美しさを感じます。 対して、出川親方の細工は同じ針金は技の視点がまったく異なります。チェーンとして規則的でなめらかな動きをしなければなりません。これには組子細工以上の「 誤差0.0〜ミリ 」という精度が稼動部に要求されます。パーツの部分がほんの僅かに狂っただけでギクシャクときしみます。あるいは一定以上の狂いがあれば作品自体にねじれが現れます。妥協できない難度の高い技は、逆巻きの縄をも具現化させました。今もそして過去もこの両方を完璧に作れる職人は親方一人という立場であります。さらに恐ろしく均等な力学は、逆巻き同士をを組み合わせても乱れずしなやかに揺れます。
しなやかなままで在り続ける鎖は最もごまかしの利きにくい領域にあり、また機械では再現できません。(現在、売られているセイコークレードルの時計の18金の縄のベルト部分は、親方が一つづつ組み上げた作品です。名前は出ておりません。)人の歴史という意味合いでも親方は日本の誇る縄装飾の最高の職人であり伝承者であると言えます。これらを活かした製品はそういった何億年も昔から変わっていない技術のひとつの発展系です。
送料を改定しました。お買い上げの合計額が一万円以上で送料無料になります。編網は人間の持つ機能を使っていることを基本としていて、自然火災による土の変化を発見した焼物、または黒曜石などのかけらの鋭さを利用するヤジリとは全く異なるものです。人類最古の人達の生活において、採取した物をまとめることが必要になり、草や蔓で結束していました。ここで蔓をほぐす行為から喚起されて、絞り縄が発明されました。ここで縄作りの巧拙によって、専門として作るようになった人が“職人の元祖”として位置付けられます。当時、何の交流もなく世界中で全く同じ技法を使って縄が作られて、文化的に歴史的に継承されていきます。単なる加工技術から、金属縄に編み上げる「独自の技術」に磨き上げるという行為は、同じように人類学的で、根源的かつシンプルな技術体系の様に見えますが、実際にはこれこそが職人の歴史の中ではもっとも先進的で優良な形のひとつなのです。
なお、縄の発明によって縄の活用は結ぶという発想から、さらに重要意味を持つことになります。区域を縄によって囲い区分する意識が生まれます。日本では神聖な場所、神の場所を仕切って守る発想があり、結界や境界を示したものです。それに続く鎮守の森も神を守る結界、そして垣根も同様に縄による仕切りから始まり、犯してはならない区域を示すことからも、縄の意義を発展させたという一面も持っています。あるいは家を建てる場合、土地の地鎮祭でも縄が張られます。いずれもそこに神が宿る、または降りるとした神の通り道の名残です。縄が、太古から未来永劫を結んでいく紛れも無い事実もあり、神にも繋がる凄いものなのです。又、神社のご神木を見ると、縄が巻かれて結界が張られています。または身近なところでは化粧縄という物も作られています。これほど厳然たる歴史を持つものは縄以外にありません。