職人の住む町
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撮影:要 史康

吉原一門の印象として、自主的な追求を重んじる姿勢がある。久保刀匠の修業は、この師匠ゆえに無理無く没頭できた環境があった。常に自然な空気であり、その中で、積み重ねた理論が技を通して試され、発見が体験を通して理論と結びついていく。刀剣界の中で、理論的裏付けを重視する数少ない刀匠のひとりである。ゆえに砂鉄から始まる様々な冶金理論、それを技に映して見せる刀剣のメッセンジャーとしても、今後期待できるひとりと思う。園芸学部が唯一あった国立の千葉大を目指し、大学院まで出た変わり種でもある。吉原一門の特徴的な備前の丁字乱れ、刀の神秘性と魅力の関係、精神面を重視した理論を加味して、古刀崇拝者へ現代刀の底力を見事に見せてくれることを期待したい刀匠である。作品は優れた作刀技術と理論を裏付けるように、常に受賞レースに顔を列ねる優れた刀匠のひとりである。
 
■ 歴史
平安時代〜現代


久保刀匠は,鋼の研究に没頭しておられ、論文も発表されて
います.
日本鉄鋼協会論文誌「鉄と鋼」への論文記載は日本鉄鋼協会のホームページ上で紹介されています。
「たたら製鉄や日本刀についての研究報告を、年に1報ずつ
していきたいと考えています。
たたらや日本刀というのは大学等の研究者ではなく、技術者にしか見えてこない面白いテーマが山ほどあります。
予備実験が済んだものが5報分はあり、これまで報告されていない面白いデータがたくさん出ています。
刀作り同様、研究発表が私の生きがいになってきました。」
との事です.興味のある方は下記のアドレスへアクセスして下さい.
日本鉄鋼協会「鉄と鋼」
http://www.isij.or.jp/Teikikanko/0804.htm


  大学院終了後、吉原義人師匠の家に住み込んで弟子入りしました。期間は5年間。師匠は、一般的にイメージされる頑固な職人というのとは全く異なり、合理的精神の人であり、修行はかなり自由な雰囲気の中で出来ました。修行中は他の鍛冶屋さんを弟子が訪ねるのを(普通の)師匠は嫌がるものですが、全く気にしなかったので、休みを利用してサイクリングやヒッチハイクで全国の鍛冶屋さんを見学する旅に出かける事ができました。その旅の中で、素材である玉鋼の重要性を感じるようになりました。
  吉原義人師匠直伝の重花丁字を焼く技術には自信があります。独立後、勉強した砂鉄からの和鋼づくり(たたら製鉄)の技術と理論にも絶対的に自信を持っています。焼入れ技術、地鉄作りの技術、そしてそれらの冶金学的アプローチを通じて、名刀に迫っていきたいと考えています。
  名刀を作るには、いかにすべきか?を常に考えています。やみくもでもなく、冶金的に的を絞って挑戦すべきだと思います。名刀を作る為には、ありとあらゆる人の知恵と技術を借り、自分に足りないところを補っていきたいと考えています。
  これまでに3人、内2人は刀匠の資格とる。指導しながら、この弟子は将来どんな刀を作るようになるのか、と思っている。自分らしい個性豊かな作品を作るようになって欲しいと思う。

 

職人名 久保善博(くぼ よしひろ)
雅号又は銘 善博(よしひろ)
生年月日 昭和40年3月19日
職種(種) 刀鍛冶
作品(アイテム)
技数(積)
次代、素人から始めて手伝えるような状態になるまでの期間
3年以上。
技の種類や工程
材料(玉鋼)作り、鍛練、鍛造、焼入れ、研ぎ。どの工程もマスターするには時間がかかる。全ての工程のレベルアップが作る刀の完成度に反映する。
現在の立場(役) 生涯現役
次代 他  
   


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