好きな作風は、華やかな波紋を焼いた備前伝と、地金を愉しめる相州伝であります。
特に南北朝時代の“志津”(正宗などの流れで、相州伝として確立した土地の名)の写しは、変化にとんでおり、地金を見ていて“飽きがこない作品”と言われています。
有り難いと同時に励みになります。備前伝は、華やかな波紋と乱れ映りもあって、楽しんで頂けるはずです。
又、正倉院の刀子復元の依頼ですが、文化的意味からお受けした私の特徴となる一つになると思います。刀子とは、奈良朝や平安朝のみやびな人達の文房具的ミニ小刀。
貴族が使っていたものは華麗な撥鏤鞘であります。大宮人がその華麗さを誇示した誇りであったと思われます。現在も同様に、お守り,あるいは宝物としてお持ちいただく人がおり、日本の文化の足跡を伝える意味から誇りを持って造っています。
●玉鋼を材料として刀剣を造る。
●作刀の難しさは、修行時にしっかり研鑚を積むことが基本です。しかし独立してからの研鑚はそれ以上に意識して行います。美術刀剣といった観点もあり、感性は最も重要なひとつです。どの職人も同じですが、挑戦を続けていくことで、様々な発見があり、それが作品に現れ、楽しいことに、繋がっていきます。
過去の受賞暦
修行を終え、独立した一年目が昭和59年、新作刀展で特別賞の寒山賞を獲得。
それ以降は塾の刀剣24Pを参考にしてほしいと思います。
平成七年、無鑑査(刀鍛冶の最高位、現在 国宝を加え18名)に昇進。
この間に、高円宮殿下(故)のお子様三名のお守り刀、横綱の太刀。
メトロポリタン美術館からの招聘で、刀剣調査をする。
などいろいろあり実績のひとつです。
“日刀保 新作刀展覧会 刀剣P24〜25”参照 |