東京で数少ない総火造りの兄弟鍛冶である。鋏は弥吉の強い流れを組む職人である。包丁も得意としている。
現在は横座(細工方)は弟、先手(打方)に兄、TV等で良く見る兄弟である。交互に打下ろす呼吸は互いの考えを読みながら絶妙のバランスを保つ。辰雄氏は享幸(弟)氏について、「子供の頃から見ていたとはいえ、初めて道具を持った時から何とか鋏を作った」と言っていた。ともかく天才肌である。二人とも好奇心と挑戦する気持ちが常に溢れ出て、技に対する真摯な姿勢が素直に現れる。本物である職人の姿、この道だけを歩き続け自己の技を見つめ鍛え続けた二人からは気負いも、おごりもなく常に自然体で一喜一憂する様は職人の中の職人と言える。
■ 歴史
明治初期。 |