職人の住む町
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どんな貴金属の修理にも精緻な技で答えるベテラン職人。

宝飾の修理を得意とする職人。その技は卓越したものでしたが、それは親方が言うには本来なら宝飾の職人であれば、誰もが出来る技と言うことです。例えば1mm以下のパイプを作る場合ですが、平板を金床で叩いて丸め、それをなまして小さな穴に通し、ペンチで引き抜くような形で伸ばし細い管を作ります。固くなったらガスバーナーで炙りながら、次第に細い穴に変えて通して行き、最終的には太さ一ミリ以下になるものです。それが出来たらそれを小さく切り、宝石止めの爪となる小さく切った針金を周辺に3~4本金属蝋で止めます。正にルーペで拡大して行う緻密な作業ですが、親方は簡単に見えるほど無駄も迷いもなく作って見せます。一連のパーツが親方のよって合わさっていき、見る間に全ての台座にダイヤまで取り付け終わりました。ちなみにこれらは現在はもっと簡単な技にとって変わっており、この場合はご存知のキャストです。鋳造の世界ではロストワックスという、蝋型の精密鋳造法でした。これにより指輪などの場合、台座ごと作ってしまうのです。この製法の特徴は作りやすく安くあがることです。 しかし、一般的なネックレスや指輪やイヤリング、又はブレスレットの様なものに至るまで、昔のものは親方のやっている方法で作られています。常に風合を損なうことなく、貴金属を直すことができる。こうした熟練した"技を活かせる達人"なのです。親方は修理の方が好きだと語っています。写真のプローチの金属部分は全ては親方が作ったものです。

  18歳で関田装身具に入門、三人の兄弟弟子がいました。修行中は掃除、風呂焚、 使いなどは当たり前でした。初めての練習は銀でやりました。しかし主に 炭研ぎばかりでしたが。早いもので私が70歳になるとは驚きであり、時間の 経過に愕然とします。まあ無我夢中といいますか、いろいろです。
  細かい仕事ですし、その人の根気とか、持って生まれた感性などがかなり 必要な職種と思います。宝石など高価な材料になりますので、問屋さんなど と組んで仕事をしますからその点でも今の時代、仕組みといった別の意味で 難度が高いことになります。昔は育てようとする問屋の旦那がいました。 今は残念ながらいません。この点も技より現代に適合する捉え方が必要です。 修理は新たに作るより厄介ですが腕を現す喜びもあり、何が自慢かと言われ れば修理と答えたいのです。新たなものは石があっての特注品などが主で あり、デザイナーなどと組んで行うこともあります。
 

元は15cm程度の小刀の様な道具だったが、数十年のうちに削ら
れて"日本刀にそっくりになったもの"。
今回、親方が作った作品。手付きが速いが常に正確。
石はオパール、ルビー、ダイヤ。
  “ 単純なものは偉大である ”。突き詰めていく美しさもそして技もシンプルでなく てはならないと思っています。
  希望者はいますが、自他の状況、問題点など様々な理由から取れないのは他の職人の場合と一緒です。

 

職人名 松本正博(まつもと まさひろ) 
雅号又は銘  
生年月日 昭和25年2月12日
職種 貴金属加工 修理
歴史 古代
作品  
技数(積)
素人から始めて手伝えるような状態になるまでの期間
5年程度でパーツ作業が可能です。
技の種類や工程
装身具全般の製作と修理、一門としての技の特徴ですが、例えば糸鋸の使い 方などがあります。上から挽く技は当門下だけですが、多分、今は私一人かも知れません。
現在の立場(役) 生涯現役
しかし70才となった現在では、五感が利かなくなる時が引き際と 考えています。
次代 他  
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