身近な所では渋団扇や一閑張りの籠がある。しかし一閑張りの概念がすっ飛ぶ技がここにあった。漆とも違う本渋引きの家具、シックであり、重厚であり、デザインも洒落ている。色気もある。古いはずの技法が新しさとなって表現されている。柿渋とは防水材であった。優れた一閑張りの技法に村上水軍が残した船金具の技が加わる。
宇野氏のルーツもここにあり、代々の船鍛冶であった。常に楽しく作る、これが職人としての姿勢だ。仕事は丁寧である。そうでなければ作品は多分野暮ったいもとなるに違いない。宇野氏は楽しんだ残りが作品という。従って思う程儲からなくても仕方がないんですと語る。やる事はやったという姿勢から良い物である自信が伺える。
■ 歴史
寛永年間(1624〜1644)に帰化した明国人、飛来一閑が始めたとされている。 |