一緒にいるだけで気合いの入る親方。いかにしたら時代に合った良い仕事が出来るのか常に考え又、買ってくれたお客さんが具合よく使えるか、そこまで考え作るのは当然と語る。こうした考えは作品にも現われる。お年寄り用の椅子の“掴まり立ち”の籐製品、そして30cmほどの高さのベッド、そして楽座は8cmから1cm刻みで揃っているなど使う側に立った製品作りである。
職人としてデパートなどに行商に行くべきでないという職人もいますが、それは人によって違うということが氏を見ていると感じる。“本来なら職人がやることではないかも知れないが籐製品の場合、お客さんの好みがあるので非常に参考になります。どんな製品が喜ばれるのかを創意工夫することが大切です。”問屋が無くなってきた今、職人歴56年、揺るがない信念でパワフルに語る。
お稽古の教室等にも呼ばれ教えたが、手取り足取り教えても伝えられない事があると言う。“結局は覚える側の姿勢や持って生まれた才能が大事なんです。お稽古気分では簡単な物しか出来ませんし技術的にも無理があります。”小峰氏は波乱万丈の過去を振り返る。駐留軍向けの洋家具や材料が入らない時、柳やアケビのつるをも手掛けた。
■ 歴史
籐は遣唐使が薬種として日本に渡来してきた。明治時代に籐製品として開花した。 |