職人の住む町
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名工の誉れ高かった父に師事、子供の頃から手伝わされていたが、父の仕事の非生産性、非合理性を見て常に批判的であった。しかし自分の代になった時、気が付いたら全く父と同じ道を歩いていたと言う。おろし金には最も硬い銅板を使い焼生さずに刃を打っていく。形は江戸時代から今まで全く変わらない珍しい道具である。仕上げは非常に美しく江戸幸のおろし金の人気の高さが伺える。最近は問屋組織の衰退から行商は欠かせないが、幸いにも他の職種に比べて一番重要な打ち込みがどんな場所でも可能で、お客様に見せられることも重要なポイントとなっていると言う。打つ音もリズミカルであまりうるさくなく、他の職人から眠けを誘う音と言われたそうだ。おろし金の両面に2種類のすり刃が付いている。大根と生姜用といったところ。種類はサイズで変わる。その他、わさびおろしのミニ、昔からやっていた卵焼き器が加わり、いたってシンプルである。もちろん打ち直しもきく為、一般家庭なら一生使えるといっても過言ではない。

  18歳から始めましたが、当所はこの仕事が向いていないと思っていました。
あれこれやって見て分った事でしょうか、親父は基本が大切だと云っていましたがそれが分るようになるまで結構時間がかかりました。今ではしみじみと懐かしく思い出します。それと作った品物を人に見てもらうことがとても勉強になりました。
  私のおろし金は人様の物より厚手で少し大きく作ってあります。毎日使って20年目で修理に来たものもあります。一般の家庭であれば一生ものといっても過言ではありません。刃先がきれる為おろした物が色変わりしないとか、水分が出にくいとか、味が変わらないとか、切れ味などは当然です。
 
  親父がよく言っていました。”人間三かくはいけない”義理をかく。人情をかく。欲をかく。この事は職人として常に頭にあります。
  何でもそうですがそれぞれ悔いの残らないように頑張る事です。

 

職人名 勅使川原隆(てしかはら・たかし)
雅号又は銘  
生年月日 昭和16年2月20日
職種(種) おろし金
作品(アイテム) おろし金 他
技数(積)
弟子入りしてから手伝えるような状態になるまでの期間
5年程度で出来ます。しかし人によって違います。自分で色々と考えられるようになるには10年といいますがそんな気がします。
材質選択はそんなに難しくないです。おろし金の場合は一番硬い銅板ですし、それ以外ありません。強いて言えば道具の管理、研ぎから始まる全ての作業を早く覚える事ですね。
技の種類や工程
銅の種類は結構あります。目的によって成分が違ってきます。おろし金に使われている銅は昔から赤といわれているものです。その中で最も硬い銅板を使います。機械打ですとなまして使いますが、そのまま火を加えずに叩いて刃を付けます。同じ叩くのでも鍛金とは違い刃物ですからなまして焼きを入れても、その後研げる訳では有りませんから通常の刃物とは考え方がまるで違ってきます。
製法は板を切ってから、使う側に錫を付けますが錫の溶解温度が低い為ほとんど銅板には影響がありません。その後刃を打って行きます。工程的には実にシンプルなものです。仕事としては非能率的で一見機械でやってしまえばと思いますが使う側からすれば使い勝手の良さや切れ味が続く、何より味が違う、水分が出ない、そして丈夫で信頼感が高い事などが上げられます。
現在の立場(役) 生涯現役
次代 他  
   


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