江戸ブラシの流れを伝承する生っ粋のブラシ職人です。奥さんも又優れたブラシ職人で、仕事場で黙々と二人で作業をしています。52年間、毎日座りっぱなしの作業です。そこから繰り出される技は体の一部となり、血液のように自然に機能しているはずです。筋金入りの技は江戸職人としてかたくなに三代の誇りを伝え守ってきたものです。
プロであることと、日用品を作っている事の自覚は強く、ご夫婦ともども謙虚な姿勢が人柄に滲みでています。墨田区職人の中にあって区の無形文化財の指定を受け、下町の技を守る重鎮であります。
職人の歴史とは、誇りを相伝していく事です。下町の職人の誇りが親方にも身に付いており、その上で、日常的な製作や様々な新旧の特種ブラシに挑戦しています。特殊なものはあまり価格があわないはずですから、このへんは伝統の心意気でやっていると思われます。
特注ブラシのほとんどがリピーターであり『このブラシでなければダメだ・・』といって訪ねてくる。毎日忙しく仕事がある事がその腕を明確に物語っています。
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