職人の住む町
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きゅう漆の職人である。きゆう漆とは漆工程の中で仕上の加飾部門に属する。仕上の例をいくつか紹介したい。“塗り立て(花塗)”という塗り放しの仕上は漆に油を含ませて塗る方法である。“真塗り”は、油を含ませないので塗った人の刷毛あとや技量がそのまま出る。“呂色(蝋色)”は油を含まない塗りを研ぐことで味を出す。その上に“摺り漆(拭き漆)”を7〜8回行なう。仕上りは蝋のようなしっとりした艶と深みを持つ。各工程では磨く炭の質を変える。“拭き漆”は木目等を見せる為に行う技法としても有名である。江戸指物、武家屋敷派はこれである。その他“変わり塗”や加飾と言われる“各種の蒔絵や螺鈿”がある。
こうした仕上の技を生かしながら最高を引き出すのが仕上職人である。中氏はこうした全ての仕上技に精通している。修業は名工と言われた邑田保次氏に弟子入りした関係から、呂色仕上を得意としている。輪島塗の中にあって技が確かな職人のひとりである。又、今の時代に伝承技を活かす数々の挑戦を行う。未来と過去との狭間を繋いでいく。


  左利きの鑞色(ろいろ)職の名工と言われた色田保次氏に弟子入り。徒弟制度の中に置き、休日も終了時間も定まらぬ、ただただ漆の都合に合わせた仕事の中で、四季折々の漆の性質と葛藤。
  身近に気軽に和・洋にとらわれる事なく、使える器作りが好き。また、漆器の修理・修復等手広く扱っており、椀類などの小物からお神輿や寺院の修理も手がけ、先人の職人達との「腕比べ」と正面から取組む。インテリアコーディネーターの資格を有し総輪島塗の旅館の特別室も設計、施工した実績を持つ。
 
  俺がやらなきゃ、誰がやる。今やらなかったら、いつやれる。
  自分の分野と隣り合わせの分野を結びつけた勉強を。

 

職人名 中堅夫(なか かしお)
雅号又は銘 堅(かたし)
生年月日 昭和22年6月29日
職種(種) 輪島塗
作品(アイテム) 箸、お椀、器、椅子など
技数(積)
弟子入りしてから手伝えるような状態になるまでの期間
4年。同じ加飾部門の沈金・蒔絵部門の理解と共に「きゅう漆」の技を身につける事。
技の種類や工程
11職の分業職種による120工程の積み重ねで完成を見る。輪島塗製造の加飾部門に属し、漆の特性を活かし金属、螺鈿、漆粉を使い漆器の表面加工にあたる。
現在の立場(役) 現役
次代 他  
   


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