和装の職人はどの地域も険しい状況が常態化しております。しかし本場の京都ですら着物を着る人も少なくなってしまい、
非常に難しい局面を迎えております。
親方との会話の中で最も華麗な美意識の高い文化の筆頭に着物があるという内容がありました。
着物が置かれた状況からしても日本の文化的意識は薄れているが、しかしそれを守っていく為には、本物を着る心用意がなければならない。だから“少し前なら「着物の常識」は女性の知性であり美意識だった・・”、とのことです。主知的で理性的な仕事に関わって来たひとりとして“文化の斜陽とあきらめてはいけない”ものと自覚を持ちつつも、しかし着物の情緒が消えてゆくのを見るのは残念と語っておられました。今も着物は女性の憧れです。等しく男性にとっても着物を着るのは気持ちが良いものです。この状況からでも頑張らなければならないとうことが親方の思いです。
親方は人柄も穏やかで作品にもそれが表れています。日本古来の植物繊維の一つである柿渋を使っての持ち味を活かした、地色が得意で、多種多彩な筆使いが作品から感じとれます。気持ちとしては“着物はネットによる販売をすべきではない”とのことです。柄や生地、形など打ち合わせなどお客様の要望が多岐に及ぶ為です。親方が大切にしたいことは着飾ることです。その人のイメージを活かすこと、まず本人が引き立つことが大事なんだと強調していました。仕立てるのには大事な段取りが沢山あるからです。
なお当会での着物のご依頼は親方の考えに準じます。仕立て等は先ず当会にご連絡を頂ければ親方にお話だけはきちんとさせて頂きます。親方は京都の方ですが、東京など、他の地域にも訪れることもあります。 |