職人の住む町
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チンドン界の重鎮である。名調子、絶妙のチンドンのリズム、そして披露芸の数々。
正に江戸の広目屋(披露目屋)のドンと言える。基本型はチンドン(鉦と和太鼓)。これがなくてはチンドンとは言えない。次に大太鼓(ゴロス、語源はフランス語、鼓笛隊の大太鼓をグロスケースと発音した。)そしてメロディーには、クラリネット、サックス、トランペット、アコーディオン、バンジョーなどが使われる。昔は旗持ちは旗踊りがあり、タンバリンを持って踊る人など、いずれも戯けぶりの見事な踊りであった。又、大太鼓の上にはシンバルが取り付けられ拍子をとっていた。チンチキチキチン・チキチキチキチキと云った鉦の音も、今や真っ当に出来る人がいなくなっている。ゴロスのフレーズの終止を浮き立つように強調し、叩く軽快なオフビート、‘日本人の心のふる里’と言ったのは大阪音楽大学の西岡先生である。
最近ではポップスの世界にチンドンを盗んだのではないかと思えるようなリズムまで出て来ている。扇太郎親方もフロアでやる仕事などもあってシンセサイザーとの共演も果たしている。クラブなどへ出演すると観客は熱狂するという。他にも、老人ホームの慰問など様々な仕事をこなす。又、様々な賞やメダルの数は山ほど有るが、さして興味がないふうであった。最近のコンテスト参加はお付き合い程度、仲間に逢うのが楽しいから参加している。今後は大学の学園祭やライブハウスなどで親方の見事なチンドンと芸を披露出来たら面白いのではと思った。因に関西では東西屋と言うが、東京でもトザイトーザイと言う口上から始まる点で関西が発祥地かも知れない。

  15歳の年からお前はやれの一言でやるしかなかった訳です。親父喜楽屋喜楽はもっと小さい頃から始めました。始めは旗持ち、リズムに乗って動く、昔は旗持ちだけで人を引き付けるなど凄い技の職人がいました。慣れていないのに、やにわに口上をやらされたりしましたが、跡取りということで 町の旦那衆も暖かく見て下さり、情緒の有る時代でした。26歳の時、喜楽親方に変わって仕事を引き継ぐときも、喜楽さんに変わって町を任すのだからと旦那衆が集まり、その前で披露し、許可を頂いたものです。新年回りはこうした旦那衆の店に獅子舞などで回り、御祝儀を頂きました。
  町の人達に楽しんで貰えた時が一番やりがいがあります。
例えば、体を張って活きて来た大正、昭和の人達にはその人なりの生き方のドラマがあります。こうした人達と感動を共有出来た時は、チンドン冥利に尽きます。時には涙を流して聞いてくれる老人もいます。苦労といえるかは別としても、子供の頃からチンドン屋の息子としてバカにされたりもしましたが、父が胸を張って誇りを持って行く事を教えてくれたのでさほど苦にはなりませんでした。私達の子供もチンドン屋の子供と言われていました。
私達夫婦が仕事帰り、子供と偶然同じバスに乗り合わせても、お互い無視してしまうこともありました。今の時代とは違いました。時代が変わってきましたね。今、チンドン界も不況の波が押し寄せ、仕事的には業界全体が苦しい時期です。しかし夫婦そろってお互い“何とかなるさ”が口癖、楽しくカラオケなどで楽しみ又、周りの人にも楽しんで頂いています。
 
  今一番問題なのは、業界のことです。一心同体となり、一丸となって飯が食える状態にしたいですね。その為に頑張っています。
  最近は芸も安易になって基本を身に付けることより、創作的に逃げてプロ意識が無くなりTV同様にバラエティー型となり、形良く言えば、パフォーマンスと言いますか面白ければいいといった考え、もちろん見る側はそれでいいのでしょうが、演じる自分としてそれで良いのかといった問題が残ります。
プロとしての努力は自分の意識ですから死ぬまで修業です。それがプロと言う事でありますが、最近の現状は、その都度寄せ集めなければ出来ないといった世情の現実があり、難しい問題でもあります。仕事が無ければお金も無いし、お金が無ければ道具も揃わない、そうなれば有り物でとなる訳で、仕方が無いとも思っています。私は幸いにも生っ粋のチンドン屋の血を受け継いで、何とかやっていかれ、誇りを持って本当のチンドンのプロて有り続けたいと思っていす。

 

職人名 喜楽屋扇太郎(きらくや せんたろう)
雅号又は銘 音曲広目屋
生年月日 昭和13年12月22日
職種(種) チンドン
作品(アイテム)  
技数(積)
次代、素人から始めて手伝えるような状態になるまでの期間
リズム感が大切です。教えてできるような物ではありません。やっぱり駄目な人はいくら教えても駄目ですね。
技の種類や工程
時代物などチンドンでは古典と言えるものが得意です。チンドンの発祥から考え、ポーズの決めどころや睨みが大切です。しかし現状は仕事が細かくなり、こうした道具にまで手が回らず最近はチグハグになっても適当に着て面白ければというのが一般的なチンドンの形となってしまいました。
パフォーマンス的且つ劇団的な感じでチンドンの本流からはずれて、チンドンでなくてもいいようなチームが出て来ています。時代の流れで仕方がないのでしょうか。積み重ねた芸は不要なのでしょうか。
幸いにもカツラから衣装まで私の所は、様々な道具が揃っており、出し物もかなりあります。
しかしチンドン芸を演じられる者がいなくなって封印せざるを得なくなった芸がかなりあります。それと私は即興で踊る当て振りも行い間に入れる事も特徴としています。是非機会があったらと考えます。
現在の立場(役) 現役
次代 他  


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