職人の住む町
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柘植の櫛の素晴しさを知らせる為にお聞きすることで御会いした国技相撲の床山さん。
お相撲さんのちょんまげを結う。勝負士の頭を結う為、おすもうさんの気持ちを考え道具の扱いには気を使う。粗末にあつかった櫛や壊れた櫛で戦いに挑んでいく頭は作れないという。
頭を作ると言う事は床山として自分なりの気持ちをこめた技、他人には出来ない自分の技で気持ち良く土俵に上がって貰いたいと常に意識し心掛けていると言う。
相撲の伝統は守っていくことが大切であり、職人文化も同様で時代に合わせた様変わりは伝統の流れの中で当事者が無理なく変えていく事は仕方がないと考える。
問題は他人が無理に今の時代に合わせて習慣を変えようなど、伝統が破壊されていくことが問題となってくる。それは過去の文化の否定であり、そこに従事してきた多くの人達の努力とその歴史に対する挑戦でもある。それは重いものとして捉えなければならない。それなりの覚悟をもってその人が伝統を語っているのかを聞きたいと言う。
単なる人間の傲慢さで、文化と歴史と過去の多くの人達の培って来たものを破壊をするとしたら、それは犯罪にも匹敵する事であると言う。大切なことは変えたいと思う人と歴史を背負った当事者とが互いに理解していくことが大前提である。
日本職人名工会も同様に、“作り手と使い手の交流”と“伝統と現代と”の言葉があり、にこの話と同様で、伝統ある相撲に関与しそれを守っていく側の一職人であれば日本職人名工会は大変興味がある活動であるという。写真は伊達錦さんの髪を床安さんが作っています。

  15才より始める。当時はなぐられることは日常茶飯事でした。
  ここは道具に付いて語ります。柘植の櫛は国産で柘植に似ている木を使ったシャムと言われているタイ産があります。タイ産は水分を含みやすく曲がったり折れたりと質が国産物と大きく低下します。大きな違いは価格です。ほとんど観光地等で売っているものは100%タイ産です。
国産は少なくても2万前後するし我々が使っているのは形状があり、3万〜5万ぐらいする誂え品です。よく土産に買って来たと我々に見せて頂きますが、何と言って良いのか分らないほど本柘植と明記されていながらほとんど騙されています。もちろんタイ産でも気分や丈夫さは違うが大切に使う事で本柘植に似ての効果は期待出来ます。柘植の櫛には優しさがあります。まずお相撲さんは枝毛が全くありません。髪を大切にしたい人は絶対に柘植櫛をお薦めします。
髪の毛は鱗のようになっています。逆毛はこの鱗をたてていきます。逆毛をたてることは少なくなったが髪へのやさしさで柘植櫛は最適です。長い髪をしている女性はブラシを使うより揃え櫛などを使う事をお薦めします。枝毛も防げるしと良い事尽くめです。柘植櫛を使う場合は油をしみ込ますなど多少ルールがあります。
柘植櫛は長く使う事で木目等に油が入り色が深みをまして鼈甲のようになっていきます。30年以上使っている人はまれですが私の櫛は毎日使って30年以上経っています。使い方さえ間違えなければ大変丈夫です。
 
  勝負に挑むお相撲さんが常に気持ちよく戦えるように、気持ちを大切にして道具から始まり仕事をしています。
  床山は部屋数の関係から50名以上います。最近は厳しさが薄れています。常に真剣に国技を支える誇りと自覚を持ってほしいと思っています。技の修得は他人の技を見ることですからこれで良しとせず修業してほしいと考えています。

 

職人名 西村安士(にしむら やすし)
雅号又は銘 床安(とこやす)
生年月日 昭和25年7月6日
職種(種) 床山
作品(アイテム)  
技数(積)
弟子入りしてから手伝えるような状態になるまでの期間
技の種類や工程
毎日ちょんまげを結う仕事がら、床山の髪をとかす技は一番と言う。癖のある毛、縮れた毛、等様々な髪を柘植の櫛でとかす。柘植でなくては出来ないという。
基本的な道具は柘植櫛4本。梳櫛、荒櫛、揃櫛、前かき櫛そして鬢付け油、元結い他となる。かつらなどの職人の道具とは全く異なる。ちょんまげでもっとも基本は根と言われる。
まとめ技で櫛目がしっかりと根に向って通っている。これが下手だと相撲をとった後、元結いが切れてばらける率が多くなります。櫛の持ち方が床山の基本的なものがあります。櫛を手前に引く場合手前真ん中に親指、反対側に中指と薬指で挟みます。ひと指し指と小指は広げて櫛全体の加重を支えます。おすもうさんの場合、鬢付け油でかなり力が加わりますので下手な使い方をすると折れてしまいます。
相撲を取る時のちょんまげと正式な大銀杏を結う時は又技が違います。金の串を使い髪の毛全体を上手くころしながら綺麗に膨らませたりします。
現在の立場(役) 現役
次代 他  


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