刀工歴は輝かしく実に華やかである。その功績から実力はもちろん人物的にも、物腰の柔らかな刀匠で名工である事を感じる。
巷の噂で、『昔の玉鋼のほうが良いと言うことをよく聞く』との質問に対し、今のほうが製鉄技法に無駄がなく大量に良質の玉鋼が作れるとの答えを頂いた。確かに現代の科学から考え今の玉鋼が悪いはずはない。
具体的に数字を見たが、言う程の違いも発見出来ない。結局、良し悪しを語る理屈屋は出来ない人であると判明した。当初からタタラにかかわり合っていた刀匠だけに信頼感は絶大である。あらゆる研究事項に積極的に立ち向かい、ごまかしがない。細かく丁寧な性格と思う。刀の見るポイントを聞いたところ、地金をみてほしいと語った。無鑑査の研ぎ師が、総合的にバランスが良い最高の刀匠のひとりであると語っていたことを思い出した。

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