池蝶貝はこれほど多くの色が出せるのか、どれも美しい。
淡い赤系、オレンジ系、紫系、銀色系、金色系、白、黒蝶貝が作り出すような黒真珠、また、珍しいレインボーもまれに混じるそうだ。完成した珠はしっとりとした落ち付きで品格を漂わせて輝く。一般の真珠は、大きな核を入れ短期間で作ってしまう。例えば酒と同じ即醸造である。親方の池蝶貝は元気な個体を自然の中でじっくりと時間をかけて育てる。発酵菌を自然の中で力強く働かせて熟成させる王道、生元造りと言えるだろう。
この真珠は形も面白く光も美しい。真円、楕円、長方形、ひょうたん形、雫形、涙形、ハート形、貝に貼りついたマベ貝のようなもの、真円の珠は10mm以上の大きな珠から小さい珠まで、実に見あきることはない。今でこそ淡水物を作る業者がいるが、17〜20mm級の大珠を作り出す技法を持つ人は北尾親方以外に居ない。
親方の技法を知る為に来日したアメリカの世界的な真珠王が、北尾親方の技を称して“世界一の職人”と言ったことは実に痛快であった。このことはアメリカの科学誌にも出ている。
様々な美しい輝きを見ると、まさにクインズパールと言いたい真珠、北尾親方と元気な池蝶貝の合作である。
今回の紹介は一部にすぎないが、深い輝きと微妙な色合いの数々、ブランド品に走る人達は、そろそろ目覚めても良い頃ではないか。
親方はアメリカで発表された最先端技術品に、親方の技を重ねてさらに素晴らしいものを作製する挑戦があると言う。まさに技と美の進化である。

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