黄金色の薩摩柘植、生産地だからできた薩摩つげ櫛と柘植ブラシ
鹿児島の"産地の利点"良材の製品化が比較的容易いことが最大の特徴です。
喜多親方の信念は、櫛は日常的な道具である。
親方の櫛は、その想いから良質な薩摩柘植を使っていても購入をためらう事のない価格を付けられていると言う。
一般的なつげ櫛に比べ縦幅を若干太めにした加工は櫛の強度を上げ、長く使える事を意識したものだ。
この太い櫛の背と全体を持つことで保持し易さと強度を併せ持ち、無駄な力を髪に伝える事なく梳かす事ができる。
櫛の製作に必要な行程である燻し(いぶし)では、燻し過ぎは板がもろくなり、近年は燻した匂いを好まれない方も多いため、温風を静かに行き渡らせながら数ヶ月間ゆっくりと乾燥させ、強度を落とさず臭気を緩和させる方法も使われる。
このような工程を経て、美しく堅牢な薩摩柘植の作品として磨かれた親方の櫛は、画像では伝える事ができない重厚な感触がある。
親方の素晴らしい作品は櫛だけではなく柘植の特性を活かしたブラシがある。
髪の艶出しや頭皮のマッサージに人気の柘植ブラシですが、喜多つげ製作所が世界で初めて柘植をブラシへ加工販売した親方の特許物です。以降、一般の美容理容のコーナーで見られるようになり全国へ普及しましたが、製作許可を求めてきた業者は居なかったそうだ。
髪型の多種多様な変化を思い、柘植製品の多様化の必要を感じた親方は、薩摩黄楊の素晴らしい特長を活かせないものか、使い易い製品として機能を追求できないものか、その試行錯誤の末に完成したのが喜多つげ製作所のつげブラシだった。
親方はこの事について、「最終的に柘植の良さが伝われば良いんですよ」と語る。
市販されている非常に廉価なつげブラシは「つげ」という表記がされていても、つげに類似した仲間の種木で作られており、 本物のつげを加工した品はほとんど皆無である。