江戸の指物を伝承する優れた技職人は結構いる。根本氏はその中でも年令的には若い方に属するが天才的な指物師である。指物は一般的な家具と全く作り方が異なる。全て木材を使い 合板などは使わない。釘も一切使わない。木は使い方で伸縮の度合が異なる。指物師は これを頭に入れて細工をする。又、木目を充分に活かす木取りにも神経を凝らす。特に技を見せる武家屋敷派の指物は仕上、板使いなど細部にわたり神経が行き届いている。江戸指物の最高の材質はなんといっても桑材である。厳しい自然環境からいじけて育ちそれが美しい木目を形成する。この木目を活かしながら釘を使わずに組み合わせていく。細工を誇り、木目を活かした美しさは見応えの有る技となる。 作りの良し悪しは、細部のチェックをすると意外に分る。例えば、閉めた状態の引き出しの隙間や、開き扉の上部など右から左に流れる隙間等を見ると一定で乱れがない。組み込んだ互いの形状などバランスにも乱れがない。細い木材を使ったものは作る人によって乾燥や細工の仕方ではっきりとし粗が出やすい。塗りも重要な要素だ。 根本氏の流派は武家屋敷派であり、薄い漆塗りで 木目と組み手の素晴しい技を存分に見せる技法である。もう一つは歌舞伎派とか花柳会派とか言われるもので、こちらは厚手の漆塗りである。江戸の指物は粋で洒脱、且つシャープな感覚を持っている。
送料を改定しました。お買い上げの合計額が一万円以上で送料無料になります。(2010,7)
作品の画像をクリックすると詳細が見られます。
品番 8-3-6 立鏡