プロの為の漆刷毛であり、一本で20年から使う。材料は女性の髪であるが、かもじ屋さん(日本髪を結う時に使う女性の髪の毛を収集する商売)がなくなり、最後の人も廃業することとなった。頼みの中国物も少なくなっており、毛質も食事の関係で日本の髪より質が落ちると言う。
因に最も理想の髪というと働き盛りの海女さんの髪だそうである。髪毛に力があり、海藻を食べ、潮風で油気が抜けているのがいい。刷毛を作ると漆が良くしみ込んで締まった刷毛が作れるとのことであった。ともかく漆刷毛の材料がなくなった昨今、塗師の身内の女性の髪をあてにするしか方法が無くなったと言う。現実に奥さんや娘さんの髪で刷毛を作って仕事をする塗師も既にいるとのことである。
塗師の工程の中には、馬毛の刷毛を使う工程もある。泉清吉8世までは牛の毛も使われていたが、当代で馬の振毛(たてがみ)に変更した。又硬い馬の尾毛(本毛)も使う。
馬の種類によって毛の性質が異なり、使い分けている。時代の推移に対応しながら技を活かしていくことが伝承であり、中国の髪を使わなければ漆刷毛も途絶えたかも知れなかった事や、当代がより優れた刷毛を作りたいとの気持ちから、刷毛全体に板毛を通してあることなど当代になって行った技もある。このことで抜け毛がなくなり、又、刷毛の真ん中から切っても、逆からでも使えるようになった。現在は当代の刷毛の形が定着している。なお、基本的に一般販売はしていない。 この職人さんの作品の製作の際してはメールにてご連絡下さい。
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