日本の鋏の開祖、吉田弥十郎の流れを持つ名工。鋏界の重鎮である。息子仁男氏は日進月歩するステンレスに早くから着目し料理鋏を研究する。今では素材として鋼ステンレスなどが作られ通常の鋼の硬さに負けないものがあり、益々充実した料理鋏が作られている。
過去雑誌による海外の優れた料理鋏も含む比較においてもっとも優れたNo.1鋏として選ばれていたが現在の鋏はそれをはるかに上回るものである。又、クラフトの総磨きや特殊な硬い生地を切る鋼が付いた鋏、左手用、その他特殊物なども注文によって作っている。
ちなみに江戸系の中で、難しいステンレスの焼入れを完璧に行える親方は、岩田親子以外にいないのではないかと思われる程の技を持っている。
■ 歴史
明治初期、欧米文化の渡来によりラシャ切り鋏(洋裁鋏)が必要となった。当時、刀匠であった吉田弥十郎は廃刀礼などもあり、渡来した鋏を元に日本刀鍛練の技法を源とした日本独特のラシャ切鋏を開発した。弥吉鋏はその優秀性により、多くの鋏製作技術にも受け継がれており、現在も栽鋏に限らず各種の鋏に活かされている。 |